協議離婚で取り決めた養育費や財産分与の条件を「公正証書」にしておきたい——でも、弁護士に頼まないと作れないの?と迷っている方は多いはずです。
結論から言うと、夫婦間で条件の合意ができていれば、公正証書の作成は自分たちで公証役場に申し込むことができます。この記事では、その流れ・費用の考え方・必要書類と、申し込む前に決めておくべき条件を整理します。
公正証書とは?離婚で作る意味
公正証書は、法務大臣に任命された公証人が作成する公文書です。離婚の場面では、養育費・財産分与・慰謝料などの取り決めを「離婚給付等契約公正証書」として残すために使われます。
最大のポイントは、強制執行認諾文言を付けておくと、養育費などの金銭の支払いが滞った場合に、裁判を経ずに強制執行の手続きへ進める効力が認められている点です。口約束や自作の合意書と比べて、支払いの実効性が大きく変わります。
日本公証人連合会公正証書の制度・全国の公証役場の案内(公式サイト)
自分で作る場合の流れ(4ステップ)
費用はどう決まる?
公証人手数料は、取り決める内容の金額(目的の価額)に応じて法令で定められています。養育費の総額や財産分与の額が大きいほど手数料も上がる仕組みです。
具体的な金額は改定されることがあるため、最新の手数料表は日本公証人連合会のサイトか、申込先の公証役場で確認してください。
全国公証役場一覧(日本公証人連合会)最寄りの公証役場の連絡先を探せます
必要書類の例
- 本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカードなど)
- 戸籍謄本
- 財産分与に不動産が含まれる場合:登記事項証明書・固定資産評価証明書など
- 年金分割を取り決める場合:年金手帳・基礎年金番号のわかる書類など
ケースによって必要な書類は変わるため、申し込み時に公証役場へ確認するのが確実です。
申し込む前に決めておくべき条件チェックリスト
公証役場は「二人で合意した内容」を公正証書にする場所です。つまり、申し込む前にどれだけ条件を整理できているかで、打ち合わせの回数も完成までの時間も変わります。最低限、次の項目を確認しておきましょう。
- 親権(2026年4月からは共同親権・単独親権の選択を含む)
- 養育費:金額・支払い期間・支払い方法
- 親子交流(面会交流):頻度・方法
- 財産分与:預貯金・不動産・車・保険などの分け方
- 年金分割の取り決め
- 慰謝料の有無・金額・支払い方法
- 強制執行認諾文言を付けるかどうか
自分で作るのに向くケース・専門家に相談すべきケース
自分で進めやすいケース
- 夫婦間で冷静に話し合いができている
- 取り決める内容が比較的シンプル(養育費と財産分与が中心など)
弁護士への相談を検討すべきケース
- 条件に争いがある、話し合いが成立しない
- DV・モラハラなどで直接の話し合いが難しい
- 財産関係が複雑(事業用資産・多額のローンなど)
費用面で弁護士への依頼が難しい場合は、国が設立した法テラス(日本司法支援センター)で無料法律相談や費用の立替制度を利用できる場合があります。
法テラス(日本司法支援センター)収入等の条件を満たす場合、無料法律相談などを利用できます
よくある質問
離婚の公正証書は夫婦だけで作れますか?
作成にはどれくらいの期間がかかりますか?
2026年4月の民法改正(共同親権)は公正証書に関係ありますか?
共同親権を含む2026年4月施行の改正内容の公式解説
まとめ
公正証書は「合意ができた夫婦」にとっては自分たちで準備できる手続きです。そして、その成否は公証役場に行く前の条件整理でほぼ決まります。まずは決めるべき項目を一覧にして、何が合意済みで何が未決かを見える化するところから始めてください。