離婚の条件の中でも、こどもの生活に直結するのが養育費です。金額の目安はどこで調べればいいのか。金額のほかに何を決めておくべきなのか。この記事では、裁判所・法務省の公表資料をもとに、話し合いの前に知っておきたいことを整理します。

養育費は「こどもの生活のためのお金」

養育費は、こどもと離れて暮らす親が、こどもの生活のために支払うお金です。民法上、父母は親権や婚姻関係の有無にかかわらずこどもを扶養する責務を負い、その程度はこどもが親と同程度の水準の生活を維持できるもの(生活保持義務)でなければならないとされています。

「払ってもらえたらラッキー」なものではなく、こどもの権利に関わるお金——これが出発点です。

相場は裁判所の「算定表」が実務の目安

養育費の標準的な金額は、裁判所が公表している「養育費・婚姻費用算定表」が実務の目安として広く使われています。調停や審判でも参照されるものです。

見方はシンプルです。

裁判所「養育費・婚姻費用算定表」(平成30年度司法研究)
こどもの人数・年齢別の算定表と説明資料(無料で閲覧できます)

算定表はあくまで標準的な目安です。私立学校の学費や医療費など、表が想定していない事情がある場合は、その分を上乗せして取り決めることも当然できます。

金額だけ決めても足りない——決めておくべき項目

養育費のトラブルで多いのは、実は「金額を決めていなかった」ことよりも、金額しか決めていなかったことです。話し合いでは、少なくとも次の項目をセットで決めておきましょう。

特に特別費用は、月々の養育費だけではカバーできない大きな出費です。「その都度協議する」とだけ決めておく方法もありますが、負担割合(例:折半)まで決めておくと後の揉めごとを減らせます。

2026年4月の民法改正で変わったこと

2026年(令和8年)4月1日に施行された改正民法では、養育費の支払確保に向けた見直しが行われました。ポイントは3つです。

注意したいのは、法定養育費(月2万円)はあくまで暫定的・補充的な最低ラインだということです。法務省も、収入などを踏まえた適正な額をきちんと取り決めることが重要だとしています。

法務省民事局「父母の離婚後の子の養育に関するルールが改正されました」(PDF)
法定養育費・先取特権など、養育費に関する改正内容の解説(2026年1月改訂)

取り決めは書面に——公正証書という選択肢

口約束は、時間が経つほど「言った・言わない」になります。取り決めた内容は必ず書面に残しましょう。

さらに、強制執行認諾文言付きの公正証書にしておくと、支払いが止まったときに裁判を経ずに差押えの手続へ進めます。改正で先取特権が付与されたとはいえ、金額・期間・特別費用まで盛り込んだ公正証書の安心感は依然として大きいものです。作り方は離婚の公正証書は自分で作れる?流れ・費用・必要書類で詳しく解説しています。

養育費、金額以外も抜け漏れなく
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よくある質問

養育費の相場はどこで調べられますか?
裁判所が公表している「養育費・婚姻費用算定表」が実務の目安です。父母それぞれの年収とこどもの人数・年齢から、標準的な金額の幅を確認できます。
取り決めをしないまま離婚したらどうなりますか?
2026年4月以降に離婚した場合は、法定養育費として、こども1人あたり月額2万円を暫定的に請求できます。ただし暫定的な最低ラインなので、適正な額をきちんと取り決めることが重要です。
養育費はいつまで支払われますか?
一律の決まりはなく、取り決めによります。「18歳まで」「20歳まで」「大学卒業まで」など、こどもの進路の見通しも踏まえて終期を具体的に決めておきましょう。

まとめ

相場は裁判所の算定表で確認する。決めるのは金額だけでなく、期間・支払方法・特別費用・増減額の条件まで。そして取り決めは書面(できれば公正証書)に残す。

2026年の改正で支払確保の仕組みは強くなりましたが、いちばんの土台は「何をどこまで決めておくか」です。話し合いの前に、決めるべき項目を一覧にして、自分の希望を整理しておきましょう。