「離婚したい」——その気持ちが頭から離れなくなったとき、次に何をすればいいのかは、誰も教えてくれません。いきなり弁護士に相談する? 相手に切り出す? 親に話す?
実は、その前にひとりでできることがあります。そして、先に整理しておくほど、誰かに相談するときも、話し合いを始めるときも、自分の望む方向に進めやすくなります。
ひとつ、先にお伝えしたいことがあります。準備を始めることは、離婚を決めることではありません。整理した結果「いまは決めない」という結論になっても、それはあなたにとって前進です。急がなくて大丈夫です。ここでは、5つのことを順番に整理していきます。
1. 気持ちを書き出す——一時の感情か、続いているものか
最初にやることは、手続きでも情報収集でもなく、自分の気持ちを言葉にすることです。
- いつから離婚を考えるようになったか
- きっかけになった出来事は何か
- 相手に何が変わってほしいのか、それは現実的に変わり得るのか
- 離婚した後、自分と子どもの生活がどうなってほしいのか
書き出してみると、「一時の怒り」なのか「積み重なってきたもの」なのかが、自分でも見えてきます。迷いがあるなら、迷いがあるとそのまま書いて構いません。誰にも見せないメモなので、正直に書くことがいちばん大切です。
2. 日々の記録を始める
気持ちと並行して始めたいのが、日々の出来事の記録です。何があったかを日時つきで具体的に残しておくと、後で弁護士に相談するときも、調停になったときも、状況を正確に説明する材料になります。
記録は「その日のうちに、具体的に、相手に見られない場所へ」が原則です。詳しい残し方は離婚前の記録の残し方——日記やメモは証拠になる?にまとめています。
なお、DV・モラハラを受けている場合は、記録よりも安全の確保が最優先です。
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3. お金と財産の現状を把握する
離婚を考え始めた段階で意外と答えられないのが、「うちにいくら財産があるか」です。預貯金、不動産、車、保険、住宅ローンの残高——同居しているいまのほうが、資料を確認しやすいのが現実です。
まずは一覧にするところから。何が財産分与の対象になるか、住宅ローンが残る家をどう考えるかは、離婚の財産分与とは?対象財産・分け方・請求期限で詳しく解説しています。
あわせて、離婚後の自分の収入と支出の見通しも、ざっくりで構わないので書き出しておくと、この後の判断の土台になります。
4. 決めるべき条件の全体像を知る
離婚までに決めることは、実はある程度決まっています。全体像を先に知っておくと、「何が分からないのかが分からない」という不安が減ります。
- 親権——2026年4月の民法改正で共同親権も選べるようになりました(解説記事)
- 養育費——金額だけでなく期間・特別費用まで(解説記事)
- 親子交流(面会交流)の頻度・方法
- 財産分与・年金分割
- 慰謝料の有無
項目ごとの詳しい説明と話し合いの進め方は、離婚前に決めておくこと・話し合いリストにまとめています。いま全部を決める必要はありません。「決めることの地図」を手に入れるのが目的です。
5. 相談先の種類を知っておく
ひとりで整理を進めたうえで、専門的な判断が必要になったら相談へ。相談先には種類があり、状況によって適した窓口が違います。
- 弁護士——法的な見通しがほしい、相手と直接話せない、財産関係が複雑な場合
- 法テラス——収入等の条件を満たせば無料法律相談を利用できます
- 自治体の相談窓口——多くの市区町村に家庭・女性相談の窓口があります(広報やウェブサイトで確認できます)
- DV相談+——安全に関わる相談は24時間いつでも
収入等の条件を満たす場合、無料法律相談を利用できます
どの窓口でも、ここまでの1〜4で整理したメモを持っていくと、限られた相談時間を「状況説明」ではなく「アドバイス」に使えます。相談の質は、準備の質で決まります。
よくある質問
離婚するか迷っている段階でも、準備を始めていいのでしょうか?
最初に弁護士へ相談すべきですか?
相手や家族に知られずに準備できますか?
まとめ——急がなくていい。順番も自由
①気持ちを書き出す、②記録を始める、③お金と財産を把握する、④決めることの全体像を知る、⑤相談先を知っておく。この5つは、どれから始めても構いませんし、全部を今週やる必要もありません。
「離婚したい」と思った日から、実際に動き出すまでには、人それぞれの時間があります。その時間を、ただ悩む時間ではなく、少しずつ整理する時間に変えていく——それだけで、次の一歩はずっと軽くなります。